Ubuntu 8.04 LTS Hardy Heronをインストールしよう第四話(
目次はこちら)。今回はUbuntuの紹介記事では必ずと言っていいほど特集される、デスクトップ効果についての簡単な紹介です。
例のごとくうんちくから
デスクトップ効果(もしくは、
3Dデスクトップや
視覚効果とも)とは、従来の平面表示だったOSの操作画面を最新のビデオカードの機能を積極的に使うことでより立体風に表示するよう改良したもので、将来的にはより使い易いデスクトップにしていくことを目指しています。Windows Vistaでも、一部のエディションではWindows Aeroという形で導入されていて、CMなどで見た方も多いはずです。Linuxでは
Compiz/
Compiz Fusionが今のところ最有力候補となっています。
Ubuntuでも以前からいろいろな形で利用できましたが、7.10で晴れて公式サポートされるようになりました。インストール時にパソコンのスペックを判別し、デスクトップ効果を動作させるのに十分なスペックなら自動で有効になります。スペックが足りない場合は従来どおりのGNOMEのウィンドウマネージャが利用されます。
いかんせん、現在発展中の分野なため、状況が二転三転しています。さまざまなブログで紹介されていますが、(
公式Wikiでさえ)情報が古い場合も多いことに注意してください。デスクトップ効果はいまだ実験的な機能であり、深く利用する場合は常に最新の情報を検索するよう心がけておくと良いでしょう。
とりあえずよく出てくる単語の整理をしておきます。すべてにおいて知っておく必要はありませんが、簡単に把握しておくとトラブルに遭遇したときに解決しやすくなると思います。
- X
- X.Orgが開発している、デスクトップ上にウィンドウを表示するためのソフトウェア「X Window System」の略称です。バージョン番号を付加してX11やX11R7.2と呼ばれることもあります。
- AIGLX
- OpenGLを活用してウィンドウの描画をより高速にし自由度を高くする、既存のX Window Systemの拡張機能で、X.OrgとFedora Projectが開発しています。UbuntuでCompiz/Compiz Fusionを使う場合、基本的にX Window System+AIGLX上で動かすことになります。
- Xgl
- OpenGLを活用してウィンドウの描画をより高速にし自由度を高くする、新しいX Window Systemで、Novell社のDavid Ravemanが開発しています。グラフィックカードによってはXglでないとうまく動かないこともあるようです。X.Orgが提供するX Window Systemが従来通りのX Window SystemにAIGLX機能を取り込んで行くか、SUSE LinuxのようにXglに置き換わるかは今後のX/AIGLX/Xglの発展次第です。
- ウィンドウマネージャ
- Xはデスクトップ上でウィンドウを管理するソフトウェアと言いましたが、実際にどのような外観をもったウィンドウを表示するかと言ったことはウィンドウマネージャが管理します。X用のウィンドウマネージャは数多くの種類が存在していて、GNOMEの場合Metacity、KDEの場合KWinと呼ばれるものが採用されています(変更することも可能です)。デスクトップ効果を利用するためには、ウィンドウを3D化するウィンドウマネージャであるCompizを使うことになります。
- Compiz
- Compizはデスクトップ効果で使われているウィンドウマネージャの一つで、Xglと同じくNovell社のDavid Ravemanが開発しています。もともとXgl用のウィンドウマネージャとして開発されましたが、後にAIGLX上でも使えるようになりました。Ubuntuでは最初からインストールされています。
- Beryl
- 3Dデスクトップを実現するウィンドウマネージャの一つです。Compizの私家版としてQuinn Stormによって開発されていたCompiz-quinnstormが、もろもろの理由でCompizから離脱しBerylという名前に変更されました。現在はその理由も解決し、Berylで作成されたプラグインの多くはCompiz Fusionに統合されました。7.10がリリースされるまでUbuntu用の3Dデスクトップとしてよく紹介されるのは、もっぱらBeryl+AIGLXという環境ですので、今でもBerylの紹介記事がたくさん存在します。現在のUbuntuでその紹介記事を元にBerylをインストールしようとすると、システムが不安定になる要因となりますので気をつけてください。
- Compiz Fusion
- Compiz Fusionは、Compizを拡張するプラグイン集だったりライブラリだったりします。Berylの遺産を含めた便利なプラグインを数多く提供しているので、Compizとセットで語られることが多いです。Ubuntuでは標準でインストールされています。
CompizとCompiz Fusionは
基本的に別物です。Compizはデスクトップ効果の基礎部分であり、Compiz Fusionは効果を拡張するものです。ですが、一般的には両者は一まとめにCompizと呼ばれたり、Compiz Fusionと呼ばれたりします。
要求環境
デスクトップ効果はグラフィックカードの3D描画性能を最大限活用しますので、それなりに新しいグラフィックカードと、
Ubuntuでその性能が十分発揮できるドライバが必要になります。たとえ最新の高性能なグラフィックカードを用意できても、Ubuntuで利用可能な適当なドライバがない場合はデスクトップ効果を利用できません。例えば、最近話題のEeePCなど低価格の小型PCでは、比較的新しいグラフィックチップを使っていたりするので、その性能にも関わらずデスクトップ効果がさくさく動くと聞きます。
具体的にどのグラフィックカード(グラフィックチップ)で利用できるかということは一概には言えません。ただ、比較的古いグラフィックスカードや非力なオンボードグラフィックスチップでも動くようです。Intelのドライバパッケージの名前は
xserver-xorg-video-i810(
xserver-xorg-video-intelかも?)になります。ATIのドライバはUbuntuの公式ヘルプの
RadeonDriverのページの中で、3D描画がサポートされているもの("Experimental 3D acceleration"と"Full 3D support")が対象になります。ATIの場合、
バイナリドライバ(パッケージ名は
xorg-driver-fglrx)で動いている場合もあるので注意が必要です。その場合は
AIGLXじゃなくてXglを使わなければいけないかもしれません。NVIDIAのものは持ってないのでよくわかりませんが
この辺が参考になるかもしれません。
個人的にはIntelのグラフィックスチップだと比較的動かしやすいようです。NVIDIAの場合は、
[システム] - [システム管理] - [ハードウェアドライバ]でバイナリドライバを導入するといけることが多いらしいとか。一番くせのあるのが、ATIのようです。ATIはオープンソースドライバだとバグ持ち、バイナリドライバは非力という噂をちらほら聞きます。最近は比較的どのグラフィックスカードメーカーもドライバをオープンにするという動きが始まりつつあるようなので、今後はもっと改善されることでしょう。
現在使用中のドライバの確認方法は簡単です。
[アプリケーション] - [アクセサリ] - [端末]を開き、以下のコマンドを入力します。
grep autoconfigured /var/log/Xorg.0.log
その結果は“
(==) Matched intel for the autoconfigured driver”みたいになるはず(Intelのグラフィックチップ使ってます)。Intelなら"i810"や"intel"、ATIでオープンソースドライバなら"radeon"もしくは"ati"、バイナリドライバなら"fglrx"、NVIDIAなら(たぶん)"nv"か"nvidia"が表示されるでしょう。もし"vesa"と表示されたのなら、デスクトップ効果の使用は諦めてください。"vesa"は基本的にどんなグラフィックカードでも動く汎用のドライバですので、グラフィックカードの独自機能をばりばり使わなくちゃいけない3Dグラフィックスの描画には向いていないんです。インストール時にグラフィックスカードを自動判別できなかったために、"vesa"になっている可能性もあります。その場合は
[システム] - [設定] - [メインメニュー]から、未分類にある「モニタとグラフィックスカード」を有効にします。そして、
[アプリケーション] - [未分類] - [モニタとグラフィックスカード]を用いて適切なドライバを選択してやると、うまく起動できる場合もあります。この、「モニタとグラフィックスカード」は将来的に削除される可能性もあるので注意してください。
実際にどんなグラフィックカードとして認識されているかは、同じ端末の中で
lspci | grep -i intel
と実行してください(intelの部分はドライバの結果次第でatiとかnvidiaとかに置き換えて)。わけのわからん文字列がいろいろ表示されると思いますが、“
VGA compatible controller"、“
Display controller”と書いてあるあたりにグラフィックデバイスの名前が載っています。例えば自分のノートパソコン(Compaq nx6310/CT)の場合は
00:02.0 VGA compatible controller: Intel Corporation Mobile 945GM/GMS/940GML (後略)
00:02.1 Display controller: Intel Corporation Mobile 945GM/GMS/940GML (後略)
と表示されました(メーカのスペック一覧を見ると実際のチップセットは"Intel 940GML Express"だそうです)。デスクトップ(Dell Optiplex GX620)の場合は
01:00.0 VGA compatible controller: ATI Technologies Inc RV380 [Radeon X600 (PCIE)]
01:00.1 Display controller: ATI Technologies Inc RV380 [Radeon X600]
でした(メーカのスペック一覧を見ると実際のチップセットは"Radeon X600 Pro"です、たぶんPCI-Express版)。
そのドライバが3D描画に適しているかは、端末内で次のコマンド
glxinfo | grep direct
を入力し
direct rendering: Yes
と表示されれば大丈夫です。ただし、適切なドライバに設定されていて、3D描画を行えていても、Compiz側で「
そのグラフィックカードには問題がある」と判断された場合は、デスクトップ効果を有効にすることはできません。
デスクトップ効果の設定
Compizには
数多くのプラグインが存在し、それぞれを適切に設定することはちょっと大変です。そのため、Ubuntuではパソコンのスペックに応じて選択できる複数の設定済み選択肢が用意されています。画面上部のメニューバーから
[システム] - [設定] - [外観の設定]から視覚効果タブを開いてください。

前述のとおり、スペックが足りない場合は「効果なし」が選択されます。その場合は、「通常効果」や「追加効果」を選択しようとしても警告メッセージが出て変更できないようになっています。
デスクトップ効果を使えるスペックを満たしている場合は、初期状態で「通常効果」が選択されています(タグが崩れているのは翻訳ミスです)。これは実用的な効果のみです。例えばワークスペースの切り替えをスムーズに行う「デスクトップの壁(
Ctrl+Alt+←or→)」や、ウィンドウの透明度を動的に変更したり(
Alt+マウスホイール)、ディスプレイを拡大表示したり(
Super or Windowsキー+マウスホイール)、ワークスペースを展開したり(
Super or Windowsキー+E)……。
「追加効果」を選択すると、さらに派手な効果が有効になります。ウィンドウを動かすとぐんにょりしたり、ウィンドウを最大化するとぷるんと揺れたり、ウィンドウの切り替え(
Super or Windowsキー+Tab)がどこかで見たような形式になったり……。
これら以外にも、もう少し細かく設定できる「設定変更」という選択肢が存在します。これを有効にするためには、まずCompizの設定ツールである
simple-ccsmをインストールする必要があります。
こちらをクリックするか、Synapticからそのパッケージを検索するか、
[アプリケーション] - [アクセサリ] - [端末]を起動して、
sudo apt-get install simple-ccsm
と入力してください。インストールが完了してから、
[システム] - [設定] - [外観の設定]から視覚効果タブを開いてくと、

「設定変更」という選択肢と「設定」ボタンが追加されたことがわかります。設定ボタンによって、「簡易版 Compiz Config 設定マネージャ」(Simple CCSM)が起動しますので自分の好みにあわせて設定してください。またCompizの設定は画面上部のメニューから
[システム] - [設定] - [Simple CompizConfig Settings Manager]からでも行えます。
Simple CCSMには“簡易版”と名前が付いていますが、「Simpleでない」CCSMも存在します。元々、こちらが正式な設定ツールだったのですが、多岐に渡るプラグインを詳細に設定できるため、初心者にはわかりづらく、そのため簡易版が作成されました。
simple-ccsmパッケージをインストールすれば自動的に
compizconfig-settings-managerパッケージもインストールされ、画面上部のメニューから
[システム] - [設定] - [Advanced Desktop Effects Settings]から
Compizの紹介で必ずといってもいいほど出てくる「デスクトップキューブ」も、Simple CCSMやCCSMを使って有効にできます。ちなみに設定画面で出てくる「
Superキー」は基本的に「Windowsマークのついたキー」のことです(別のキーに割り当てることもできます)。また、デスクトップキューブを利用する場合、ワークスペースの数の変更はCCSMを使って行う必要があります。CCSMのGeneralあたりを探してみてください。
プラグインはたくさんありすぎて、どれを使えばいいのかわからないのが正直な感想です。
こちらのエントリには、Ubuntuで使えるプラグインとその解説へのリンク一覧を掲載しています(ただし内容が古いです)。また、
独学Linuxさんのサイトにはさまざまなプラグインの紹介が載っているので大変参考になります。気になる人は、百聞は一見にしかず。上記サイトでは、さまざまなプラグインの動画を
YouTubeにアップロードしてくださっています。
また、
Compiz-Themes.orgや
MyX11.orgでは、デスクトップキューブ回転時の背景画像やキューブそのものに張り付ける画像など、Compizプラグインの一部で使える画像を提供しています。
自分はとりあえず「通常効果」を初期設定のまま使うつもりです。
次回から数回に分けて、楽曲管理についての話をします。