「Windowsと比較すると、Linuxは古いパソコンでも動く」という話はよく聞きますが、それはある面では事実であり、別の面では嘘です。つまらない言い方をすると「使い方次第」です。最新のWindowsと同程度のことをしようとすると、やっぱりそれなりのスペックは必要になります。ただし、Windowsは最新かその一つ前の、高スペックなパソコンが必要になるバージョンしか手に入れられないのに対して、Linuxは「古いパソコンでも動く」バージョンという選択肢も用意されています。
たしかにUbuntuは、最新機能を使う場合それなりのスペックが必要です(それでもWindows Vistaに比べればはるかに低スペックでも大丈夫なのですが)。その代わり、メモリが64MBしかないような古いパソコンでも動くようにXubuntuというものが用意されています。古いパソコンでも、最新のセキュリティ対策が施された状態で使うことができるのです。
さらに、Ubuntuを使う場合でも不要なサービスをオフにすることで、より高速に動作させることが可能です。これはWindowsでもよく行われている方法ですね。というわけで、ここでは、切るべき「不要なサービス」を探している場合に、最初に候補にあがってくる機能の設定方法を解説します。
ユーザ切り替え
7.10から、デスクトップの右上にユーザ名が表示されるようになったと思います。これはユーザ切り替えアプレット(fast-user-switch-applet)の機能で、クリックするだけで簡単に複数のユーザを切り替えることができます。でも、家族で一台のパソコンを共有するようなことがない限り特に必要のない機能ですので、個人利用の場合はオフにしたいかもしれません。これは、ユーザ名の部分を右クリックして「パネルから削除」を選択するだけで可能です。ただのパネルアプレットですので、何か特別なプログラムが裏で動いているということもありません。再び有効にしたい場合は、画面上部のパネルを右クリックして、「パネルへ追加」を選択し「ユーザ切り替え」を追加すればいいだけです。
デスクトップ検索
7.10からデスクトップ検索機能が追加されました。ホームフォルダにあるファイルや、ブックマーク、アドレス帳などのデータをさまざまな情報を元に検索してくれる機能です。Trackerとデスクバーアプレットのそれぞれについて説明します。Tracker(
tracker,tracker-search-tool)は、ホームフォルダ以下にあるファイルを自動的に走査し、メタデータを抽出し、分類するツールです。これによりユーザは、さまざまな観点から簡単にファイルを検索することができます([アプリケーション] - [アクセサリ] - [Tracker 検索ツール])。ただし、検索用データベースの作成が必要なので起動直後やユーザがパソコンをいじってないタイミングでのハードディスクのアクセスが増えます。このため、少し古いパソコンを使っている場合、一時的に操作がもたつくことがあるようです。もしデスクトップ検索を利用しないので、データベースの作成もしなくていいというのであれば、Trackerのサービスを止めてしまえばいいでしょう。[システム] - [設定] - [セッション]の「自動起動するプログラム」から、「Tracker」のチェックをはずし「閉じる」ボタンを押せば次回から自動でTrackerが動かないようにすることができます。デスクバーアプレット(
deskbar-applet)はパネルから簡単にウェブ検索を実行したり、ブックマークにあるURLにアクセスしたり、アドレス帳に登録してある相手にメールを送ることができる統合的なランチャーです。Trackerを使った検索も利用できます。初期状態では画面上部のパネルの、ユーザ切り替えアプレットの右隣にある虫眼鏡+オレンジの矢印のアイコンがそれです。これはユーザ切り替えアプレットと同じただのパネルアプレットですので、アイコンを右クリックして「パネルから削除」を選択するだけで機能をオフにすることができます。再び有効にしたい場合は、画面上部のパネルを右クリックして、「パネルへ追加」を選択し「デスクバー」を追加すればいいだけです。ホームディレクトリにある日本語名のディレクトリ
日本語版の7.10ではインストール直後、ホームディレクトリにテンプレート、デスクトップ、ドキュメント、ビデオ、音楽、画像、公開などのディレクトリが作成されていると思います。これは異なるLinuxのデスクトップ環境の相互運用性を高めることを目的としたfreedesktop.orgが開発した、Portlandによるものです。Portlandは、大雑把に言うと異なるLinuxやWindows、Macなどでインターフェース(特定のファイルに対するアプリケーションの起動方法やホームディレクトリの中身)が異なっていては初心者にとって不親切だ、だからある程度統一した指針を作成しようという計画です。単純に指針を提案するだけじゃ誰もついてきませんので、
xdg-utilsというツール群も提供し、デスクトップ上のソフトウェアの開発者もこの指針に沿ってアプリケーションの指定をしたり、ディレクトリ構造に容易にアクセスできるようにしています(freedesktop.orgは以前は"X Desktop Group"という名前でした。だから"XDG"という名前が使われています)。要するに初心者と開発者に指向したプロジェクトです。だもんで、他の同様のプロジェクトと同じように、その真ん中あたりに居る人にとっては邪魔なだけかもしれません。まぁ、そういう人たちは自力でなんとかできるだろうということで。ただディレクトリ構造に限って言えば、日本の場合はちょっと事情が変わってきます。Portlandで提供されるディレクトリ構造は、各国の言語にローカライズされることを想定しています。ですので、日本のロケールでPortlandを使うと日本語のディレクトリ名になってしまうのです。日本語の表示できない端末での操作をメインに扱う人にとっては邪魔度(?)がより上昇します。ファイル・ブラウザ(Nautilus)やGNOME端末を使う場合は日本語入力をオンにして名前を指定しなくてもこれらのディレクトリにアクセスする方法が用意されているので特に問題はないのですけれども。
特に問題はないとは言っても、設定ファイルでもないのに勝手にディレクトリを作成されて主張されるのが嫌という人もいるかもしれません。というわけで、ここではこのディレクトリを削除する方法を説明していきます。この、ディレクトリ構造は、
xdg-user-dirsパッケージによって管理されています。1.機能を切る方法
システム全体で
xdg-user-dirsを使わないようにするには、/etc/xdg/user-dirs.conf内にある、enabled=Trueをenabled=Falseに書き換えるだけです。あとは、ホームディレクトリにあるディレクトリ群を削除すれば、今後自動生成されることはありません。また、/etc/xdg/user-dirs.confを~/.config/user-dirs.confにコピーして、enabled=Falseに書き換えれば、そのユーザだけ機能を切ることもできます。あとは、[システム] - [設定] - [セッション]の「自動起動するプログラム」から「User folders updates」のチェックもはずしておいてください。これは、
xdg-user-dirsをGTK+用に拡張したもの(xdg-user-dirs-gtk)で、GNOME上でロケールを変更したときや、xdg-user-dirsの設定を変えた後のログイン時などに、自動的にディレクトリ名をロケールに合わせて変更したり、ファイル選択画面でのディレクトリ表示を変更してくれたりします。/usr/share/doc/xdg-user-dirs-gtk/READMEに何をするかについての簡単な説明が書いてあります。2.ホームディレクトリに指定する方法
特定のディレクトリは
xdg-user-dirsとして残しておきたいといった場合は、~/.config/user-dirs.dirsを書き換えることになります。例えば音楽ディレクトリはXDG_MUSIC_DIR="$HOME/音楽"と設定されていますが、
XDG_MUSIC_DIR="$HOME"とホームディレクトリを指定し再起動すれば、音楽ディレクトリ=ホームディレクトリになります。これはfreedeskto.orgのxdg-user-dirsに書いてあるやり方です。
もちろん
XDG_MUSIC_DIR="$HOME/Music"と英語のディレクトリ名を指定してもかまいません。その場合はホームディレクトリの下にMusicというディレクトリが作成されます。
3.英語のロケールで使用する方法
日本語フォーラムで紹介されていた方法です。
LANG=C xdg-user-dirs-gtk-updateを実行するという方法が提示されています。~/.config/user-dirs.localeの"ja_JP"を"C"にして再起動でもいけるかもしれません。実際のところ、上記三つのやり方を実際に確かめたわけではありません。今後のために調べた内容をメモっているだけですので、もし確かめられた方がいたのならUbuntuの日本語WikiにあるUbuntuに関するTipに書き加えていただけるとありがたいです。
その他の余計なサービス
Ubuntu Guideには、Ubuntuを高速化するためなら切っても良いサービスがいくつか掲載されています。まず[システム] - [設定] - [セッション]の「自動起動するプログラム」から切れるものとしては、- Bluetooth Manager:Bluetoothの接続状態の表示やパスキー(PIN)入力画面を表示するパネルアプレットです。Bluetoothを使う予定がないのなら、切っても問題ありません。
- Evolution Alarm Notifier:標準のメールソフトであるEvolutionの通知機能、かな。Evolutionを使わないのであれば切っても問題ないと思います。
- Tracker:上記「デスクトップ検索」の項を確認してください。
- User folder update:上記「ホームディレクトリにある日本語名のディレクトリ」の項を確認してください。GNOME上でロケールの変更を行わないというのであれば、切っても問題ないと思います。
- 制限付きドライバの管理:制限付きドライバが必要なハードウェア(例えば無線LANカード)が接続されたときに、自動で必要なドライバを検索しインストールしてくれるプログラムです。Ubuntuインストール後に新しいハードウェアを接続しないのであれば、切っても問題ありません。
- 視覚:何をするプログラムなのか、よくわかりません。
また、[システム] - [システム管理] - [サービスの管理]でも、いくつか不要なものを切ることができますが、ここにあるのはシステム全体に関わる設定ですので、何をやっているかわからない内は触らないようにした方が無難です。
動作を高速化する方法、起動速度をあげる方法は他にもいろいろあるようです。特に起動時は「設定を検索>見つからない>標準の設定を使用or機能を無効化」なんて手順を毎回行っていることもけっこうあります。こういうのを見つけて、ちゃんと設定していけばもっと動作・起動速度をあげられるでしょう。
起動時の流れについては、
bootchartなどを使うと視覚化できるようです。これを見て時間がかかっているものから確認していくといいかもしれません。また、UbuntuはDebianベースですので、"Debian GNU/Linux スレッドテンプレ"のTipsのページもある程度参考になると思います(Ubuntuとは事情が違うこともあるので、何をやっているか理解しないとあとで困るかもしれません)。タグ:ubuntu


